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糖尿病性腎症

腎臓は、体の水分(体液)の調整に重要な役目を担っています。高血糖状態が長期間継続すると、腎臓の小さな組織である糸球体(細小血管の集合体で、血液の老廃物をろ過して尿をつくります)がダメージを受け、糖尿病の三大合併症の1つである「糖尿病性腎症」を発症します。腎臓の働きは悪化しても、「沈黙の臓器」である腎臓は末期的な状態になるまで訴えてこないので注意が必要です。


高血糖状態が持続すると、腎臓に流れ込んだ血液をろ過して尿をつくる糸球体(図1)の構造が変化して、腎臓の機能が低下し、糖尿病性腎症を発症します。糖尿病性腎症では図2左(正常な糸球体の構造)から右(糖尿病により変化したの糸球体の構造)のように糸球体内部のメサンギウム領域(メサンギウム基質を含む範囲)が拡大したり、糸球体基底膜が厚くなるなどの変化が起こり、糸球体の毛細血管からタンパク質(アルブミン)が尿中にもれて排泄されるようになります。さらに、進行すると糸球体が硬化して血中の毒素(尿毒素)のろ過機能が悪化します。


早期診断のために定期的な検査を受けることが大切
糖尿病性腎症を発症した場合に進行を防ぐためには、早期診断が重要です。自覚症状がない頃から定期的に尿検査を受けることで、尿中に排泄されるタンパク質(アルブミン)がごく微量にとどまっている初期の「微量アルブミン尿」の段階で、腎症を診断することができます。また、腎症の診断前から高血糖・高血圧をしっかりと治療しておくことも大切です。


病期の決め手は尿から排泄されるタンパク質
腎症の病期(段階)は、腎臓の機能に障害がまったくない第1期から、腎症が進行し、透析が必要になる第5期までに分かれています1)。病期の診断は、尿中にどれくらいの量のタンパク質(アルブミン)が排泄されるかと、腎臓の機能を表す検査値(糸球体ろ過量:GFR)がどれくらい低下しているかという2つの指標を組み合わせて行います(表1)

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